いよいよ友禅染の花形でもある「挿し友禅」の工程になります。糸目糊で防染した文様の内側に友禅(彩色)を施していきます。あらかじめ、およその色指定はあっても、染料の調合から細部の配色に至るまで、友禅師の裁量に任されるこの工程は、ことのほか色彩感覚を磨くことが大切です。友禅の色挿しには、染料を中心として、胡粉、墨が用いられています。イメージした色に合わせ必要な色数だけ調合して作り出しますが、彩色面積の違いや蒸工程を経ることなどで色の強さや色相が調合時とは変わってしまうことも心得ていなければなりません。実際の色挿し作業は伸子掛けした生地を電熱器にかざしながら行います。これは染料の乾燥を早めて糸目糊の外に染料がにじみ出すのを防ぐための役割をになっています。淡い色から濃い色へという順序で彩色しますが、模様が縫い目(合口)にわたっているものは色の調子に差が出ないように注意が必要です。友禅の最大の魅力はその配色の妙にあります。けして決まった色の組み合わせがあるわけではありません。各職人が自分の経験と感性を頼りにお客様の喜ぶ姿を思い描きながら色を挿していきます。



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